夜撮影ができるコスプレイベントで、LED照明の使用が制限されつつある理由と、夜撮影のコツ

初心者向け

私が参加したことのあるイベントで、最近、夜間撮影時のLED照明の使用について一部ルールが追加されたり、一部機材の規制がされるという案内がありました。
他の撮影者の撮影環境に影響があるため、というのが主な理由です。

夜間の撮影に便利なLEDを使用した照明機材ですが、なぜ、他の撮影者から嫌がられたり、規制の対象となるのでしょうか。
また、LED照明を使わずに撮影するコツやテクニックも合わせて紹介したいと思います。

LED照明が使われてきている理由

まずは、最近急速に種類が増え、使用者も多くなってきたLED照明について、その特徴を紹介したいと思います。

仕上がりを見ながら明るさや色味の調整ができる

LED型の照明機材は定常光のため、常に点灯しています。
LED照明はストロボのように写真を撮るときだけ光るのではなく、常に点灯しているため、カメラのモニターを見ながら、明るさや色味を調整することができます。
LED照明の種類にはフルカラーLEDが搭載されていて、好きな色を出すことができる商品もあります。
ストロボの場合は一度写真を撮ってみないと、カメラやストロボの色味や調整量がわかりづらいのですが、LED照明の場合はモニターに映る映像がそのまま写真になるため失敗が少なく簡単です。

LED照明の場合、仕上がりをモニターしながら調節できる

ピントが合わせやすくなる

ストロボと異なり、撮影していないときでも被写体に光が当たっている状態になるため、暗い環境でもピントを合わせやすくなります。

ストロボを使用する場合は被写体が暗くなることがあり、ピントが合わせにくくなる

ストロボでは明るすぎる場合がある

イルミネーション撮影ができるような夜のイベントでは、この理由が多いかもしれません。
ストロボの瞬間的な光がイルミネーションのような弱い光に対して強すぎて、イルミネーションが暗くなったり、被写体だけが浮いてしまうような写真になる場合があります。

ストロボを使って撮影した例。ストロボの発光量を最小にしてもイルミネーションが暗くなる場合がある。
(F4.0 SS=1/125 ISO800)
LED照明を使った例。イルミネーションが露出オーバーしているが、調整次第でイルミネーションを明るく撮影できる。
(F4.0 SS=1/125 ISO3200)

価格が安くなってきた

LED型の機材は種類も多くなり、価格も安いものもあります。
ストロボ機材よりも安く購入できるものも多いため、手に入りやすくなっています。

また、ストロボをリモートで点灯させる場合は専用コマンダーなどをカメラに取り付ける必要がありますが、LED照明の場合はコマンダーが不要です。

なぜ、ルール化対象になってしまうのか

定常光であるため、他の人の撮影に影響を与える

LED照明は定常光であるため、シャッターを押さなくても常に点灯している状態です。
これが、イルミネーションなどのような光に対して強すぎて、距離が離れた場所で撮影していたとしても、画角に入ればかなり目立ってしまいます。

LED照明が直接画角に入らなくても、壁や地面、被写体が照らされていたりすると、それらを背景に撮影していた撮影者にとっては、本来撮影したかった景色とは異なってしまいます。
とくに夜景は、本来の景色とは違った人工的な光は特に目立ってしまいます。

ストロボはシャッターを切った瞬間だけ発光するので、他の撮影者のライティングに影響することはありません。

他の撮影者の明かり(LED照明)が、他の撮影者の写真に環境光として入ってしまう。
LED照明は常に点灯している定常光なので、他の撮影者に光源がそのまま入ってしまうことがある

機材が大型化する場合がある

LED照明の種類によっては大きな電力を消費するため、機材そのものやバッテリーが大型化することがあります。
大型な荷物によって、迷惑にならないように注意が必要です。

動画撮影も注意

写真だけでなく、動画撮影にもよく使われるLED照明ですが、この場合も注意が必要です。
スマホで自撮りをしている程度のライトでも、他の撮影者に影響を与えてしまう可能性があります。
動画の場合は、同じ場所にとどまったり点灯時間が長くなりがちなので気をつけなくてはなりません。

LED機材をイベントやシェアスタジオで使用するときに注意するポイント

LED機材にはメリットもあり、規制されていない限り使うこと自体は問題ないと思いますが、他に撮影者がいるようなイベント会場や、シェアスタジオで使用するときの注意点を挙げたいと思います。

撮影が終わったらすぐに消灯する

LEDが点灯している時間を短くするため、写真撮影が終わったらこまめにLEDを消灯させるようにしましょう。
とくに、LED照明を点灯させたまま他の人と話し込んだりしないように気をつけましょう。

また、移動中もLED機材を点灯させたままにはせず、移動時に暗くて危険がある場合は撮影用のLED照明ではなく、足元を照らす程度のスマホのライトや懐中電灯などで対応しましょう。

LED照明の向きに気をつける

LED照明を向ける方向は、背景が壁や水辺、森など、後ろに人がいない状況のほうがより良いです。
広場のような場所ではたとえ背景にいる人が遠くても、その人が撮影をしていると光が届いて影響を与えてしまいます。
直接、人やカメラマンに光が当たっていなくても地面や壁、物体に光が反射して、他の人の撮影に影響を与える可能性があります。

LED機材を使わずにストロボで撮影をするコツ

最後に、LED機材を使わずに綺麗に写真を撮れるコツをいくつか、私の経験を元に紹介したいと思います。

スローシンクロ撮影をする

ストロボを直接当てた例(F4.0 SS=1/125 ISO800)
スローシンクロの例(F4.0 SS=1/30 ISO800)

ストロボの光量設定はそのままで、露光時間を長くして撮影した写真です。
イルミネーションは定常光のため、露光時間シャッタースピードを長くすることで明るくできます。
ストロボの光が当たっている被写体の方は、ストロボの光は一瞬であるため、露光時間の影響を受けずに同じ明るさになっています。
シャッタースピードを遅くするとブレる心配があるので、被写体はできるだけ暗いところにいてもらう(ストロボ光によって動きを止める撮影)、三脚を使うなどしてブレ対策をするのも良いです。

ストロボの光量をさらに落とす

ディフューザーや拡散板を使う

ストロボを直接当てた例

この写真は、ストロボの光を直接被写体に当てた例です。ストロボの光量は最小にしましたが、被写体に明るさを合わせようとすると、イルミネーションが暗くなってしまいました。

ストロボを直接当てた例の写真を、現像で+2.0 明るくしてみた。イルミネーションは明るくなったが、被写体が白くなってしまう。

こちらの写真は、先ほどの写真に対して、F値を明るくしたり、ISO感度を上げるのと同じように現像で明るさを持ち上げてみました。
イルミネーションの明るさは明るくなって綺麗に見えますが、ストロボが直接当たっている被写体が白く飛んでしまいます。
これは、イルミネーションに対してストロボの光が明るすぎるのが原因です。
イルミネーションの明るさに合わせて、ストロボの光量を調整したいところですが、ストロボの光量はすでに最小値のため、これ以上ストロボ光を暗く設定することはできません。

ストロボに拡散板を使用した例。ストロボの光を抑えることで、ISO感度を上げても被写体が白飛びしなくなった。

こちらの写真は、ストロボに拡散板をいくつか付けて撮影した例です。
ストロボに物理的に光を遮るものを取り付けて、明るさを抑えています。
ストロボの明るさを抑えることでISO感度を上げることができ、被写体とイルミネーションの明るさがちょうど良い感じになりました。
拡散板の他にも、トレーシングペーパーを貼り付けたり、拡散用の白い布などを使う方法もあります。

バウンスさせる

ストロボの光を直接被写体側に向けるのではなく、壁やレフ板にストロボの光を反射させて、反射光を被写体に当て、光を抑える方法もあります。

環境光をうまく使う

ストロボやLED照明をあえて使用せずに、イルミネーションの光をそのまま使ったり、近くにある看板や自動販売機などの明かりを使って雰囲気のある撮影する方法もあります。

現像で調整をする

ストロボを被写体に直接当てた写真の撮って出し
現像で仕上げた写真

これらの写真は、ストロボの光を被写体に直接当てて撮影した写真の撮って出しと、同じ写真のRAWデータを現像したものです。
背景をマスクして背景だけを明るくしました。手間はかかりますが、現像によってイメージ通りの写真に仕上げることももちろん、手法のひとつです。

さいごに

 LED照明の特徴と、使用の際の注意点(特に、会場がシェアになっている場合)を紹介してきました。
 LED照明自体は便利で使いやすいものなので、使用そのものは悪くないのですが、その特性を理解して使わないと、他の人の迷惑になったりするケースがあります。もしも、LED照明について何か「知らなかった」ことがあったら、役に立てていれば幸いです。
 だからといってLED照明を使用している人全員が悪いわけではありませんし、きちんと使えば迷惑になりません。
 ただ、使い方が悪い人が増えてくると、イベントや会場によっては使用そのものが制限される場合が出てくることもあります。
 LED照明がメインの人もストロボがメインの人もお互いにマナーを守りながら気持ちよく、撮影ができるようになれば、と思います。

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